1999年7月10日〜12月5日
板橋区立美術館
西宮市大谷記念美術館
高浜市やきものの里かわら美術館
石川県七尾美術館
今を去ること20年前、俳優・舞台監督である米倉斉加年さんがこのボローニャ展でグラフィック賞をとられ、(現在この賞は廃止)その特異な美しさの画風が、こどものための本として国際的に評価されるということに衝撃を受けました。
同じ兵庫県とはいえ3時間はかかる田舎から出かけて観た 日本初という西宮大谷記念美術館での巡回展はすばらしく、東逸子さんのデビュー作の絵本を買い、日本にこんなヨーロッパを描ける人がいるとは!と驚いたり、好きだった上野紀子さんや味戸ケイコさんの淋しげな少女たちの絵葉書を買って帰り、これは美術の学校へ行かなければ!と心に決めた高校生の私がいました。
ところが、よほどグラフィック賞という言葉が残ってか、また、芸術の大学といえども絵本のカリキュラムはなく、とりあえずは印刷のことを学ぼうと、グラフィックデザインを専攻しているうちに、卒業したときには広告のデザイナーになってしまい、趣味性が強いとされて、絵本の作家世界からも遠ざかっていました。
イラストレーターとして仕事をするようになって、自分のオリジナルな表現を追及していくうちに、幼なじみや肉親が指摘するように、なんと子供のころ描いていたようなものに戻っているようなのです。まさしくひとまわりして、10代のアコガレにやっとたどりついたところ。これからが入り口のようです。 心に残るイラストレーションと印刷美術とが私の生涯のテーマかもしれません。