絵本と文芸の書店「フィクショネス」店内展
2002年4月1日〜6月30日 13:00〜21:00
水曜定休(祝祭日は営業)
17世紀のヨーロッパで考案された<ピープ・ショー/エンゲルブレヒト劇場>というものがあります。これは、内側を窓状に絵柄がくり抜かれた数枚の細密な絵を適当な間隔をあけて並べた箱を、のぞき穴からみると、思いがけない奥ゆきと臨場感が得られるという不思議な仕掛けで、また携帯できるようにジャバラ状に折った薄紙でつないだ折りたたみ式のものもありました。
一方、わたしのアウトラインのはっきりしたスタイルは、むしろ江戸の立版古などの遊び絵に近いほうかもしれず、幸運なことに、おもちゃ度(?)は高いように思えます。また、西洋のそれらは、遠近法を強調するような建物や風景中心の水平軸的には同じ空間でしたが、、装置として、小さなのぞき穴のレンズ効果などによる写真機の原理そのものであるばかりか、ジャバラを伸び縮みさせる、あるいは視点をずらすと動いて見えるような、アニメーションなどの映像の原点にもふれることに気付きました。
そこで、いくつかの場面が物語りの進行の順に奥ゆきに向かっていく、四次元的に時間軸を加えた絵本のような構成も考えられるのではないか、と広く知られる<不思議の国のアリス>や<ピノキオ>なども題材にしてみました。書き割りの劇場効果もあるこの装置には、ぴったりな気がします。またのぞく、という行為は誰にとっても本能的に愉しいものでありましょう。
本と文芸の書店「フィクショネス」
世田谷区北沢2-12-2 翔鶴ビル2F
Tel: 03-5430-6352