2012年7/21(土)~9/23(日)
兵庫県立歴史博物館にて「江戸時代のペーパークラフト 入江コレクションの組上絵」展「銀河鉄道」、「サーカス」、「お花見」、「井戸の底」、「牡丹燈籠」、「うらしまたろう」各オリジナル版ピープショー6点が、展示されます。
組上絵(くみあげえ)」とは、(上方では立版古とも呼ばれて俳句の季語として広まりましたが、学術的には組上燈籠または組上絵と表記。)江戸時代から明治にかけて親しまれていた浮世絵の<おもちゃ絵>の一種で、いわゆる<のりしろ>のついた、切りぬいて遊ぶペーパークラフトで、組立てると立体的な、紙のジオラマとなりました。
しかし、遊んだあとは捨てられてしまうことが多く、残っているものは貴重です。錦絵として眺めても、空間を無駄なく使って絵柄が埋め込まれ、グラフィックとしても楽しげで大変魅力的なもので、1枚で作られるもののほか、3枚から5枚のセットで大掛かりな歌舞伎芝居の場面や博覧会などのジオラマの出来るものもありました。
夏の風物詩として家々で飾られ、のちの子ども雑誌の付録のルーツにもなりました。
「入江コレクション」とは、大阪の子ども文化研究家であった個・入江正彦さんが蒐集されたその膨大で価値あるコレクションを兵庫県立歴史博物館が寄贈を受けたもので、文化、歴史的に網羅され、大変状態のよい良質のものばかりであるのが特色で、光学玩具など、一部が体験できるコーナーが館内に常設されています。
入江コレクションの組上げ絵は、264点にもおよぶもので、そのうちの選りすぐりの100点が今回はじめて一堂にならび、また複製によってそれらの60点が組上げられてあり、錦絵とともに楽しめるまたとない大規模な展観になっています。
これら江戸時代からの組上絵を蒐集し学んで現代の組上絵を制作しているニュージーランド人のペーパークラフト作家、トニー・コールさんの作品も展示されます。
入江コレクションには、組上絵との関連からか、西洋のクラシック・ピープショーもいくつかあり、私の現代版ピープショーはその流れを汲むものとして、県下出身の作家として展示されることに。
入江コレクションの組上絵の図録も今回作成され、数少ない長年のおもちゃ絵の研究者、アン・ヘリング先生が論考を寄稿されています。
平面と立体のあいだ、「2.5次元」の不思議な視覚世界を体験してもらいたい、という夏休みの特別企画ですが、入江コレクションを知るおもちゃ絵関係者らにとって、待ちに待った、そして二度とないかもしれない珍しく貴重な機会です。(組上げられたものは、保管場所がないため今回かぎりで保存されないかもしれないのです)遠方からでも、ぜひ、姫路のこの兵庫歴博へ。
なお、この企画の担当学芸員さんは、妖怪絵巻の研究者でもあり館には百鬼夜行絵巻のうちでも独創的で珍しい「百器夜行絵巻」が収蔵されていて折にふれて展示公開されています。