シルエット画によるシックな絵本
つづきのねこ 講談社刊
2004年5月26日発行
画・文:吉田稔美
ブックデザイン:坂川事務所
文庫サイズ 中綴じ 横開き 48p
上製本 定価1050円(税込)
吉田稔美「つづきのねこ」出版展
2004年6月22日(火)〜7月4日(日)
*6月28日(月)はお休みです
(火〜土)11:00〜20:00
(日・祭)11:00〜18:00
大事なねこをなくした友人を慰めようとした手紙から始まって、鈴の付いた<アトリエ空中線>の造本による私家版は、思いがけず多くの方がお求めくださり、2001年をもって品切れのため販売を中止と同時に講談社より書籍化の企画が始まり、ついに復刻できずにいました。3年もの長い時間がかかりましたが、これ以上望むべくもない形でより多くの読者に向けての本に生まれかわりました。
イラストレーターでありながら、どうして絵を描かないのかという編集者の方との話し合いが続きました。多くの方が、自分の猫や犬のことを重ねて読まれたと聞き、種類の特定される具体的な絵は、むしろ邪魔になるという確信がありました。オリジナルの私家版には1種類のシルエット図版のみを、表紙とノンブルのそばに添えましたが、全体を薄いブックレット状にして、普通郵便の定型の封筒に入る設計にお願いして、<手紙>のようにつくりました。講談社の新装版は、シックな色使いでシルエット画のたくさん織り込まれた、やはりしずかで愛らしいものになり、心ある丁寧なデザインで仕上げられ多くの手と長いみちのりを経て出来た、小さいけれど幸せな本です。前の版をお持ちの方もうなづかれるものであれば幸いです。